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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

こちらこそ不満でおざる」

「窮鳥懐に入れば――という事もある。主人将門殿は、弱者にたいし、そういう事は出来ないお人柄なのだ」

「ならば、それでもよい。しかし、そんな小我の情を以て、玄明を赦免せよの、追捕を解けのと、他国の内政へ、お口出しなどは、大いに困る」

「いや、その内政が紊れておるため、かく隣国へまで人騒がせをさせたのではないか。国司として、謝罪もなすべきに、傲然、余計な口出しはするなと、いわんばかりな態度は何事だ」

「当国として、詫びる筋はないゆえ詫びぬまでの事、べつに傲慢なお答えはしておらぬ」

「何せい、そんな一片の挨拶で、追い返されたなどといっては帰れん。玄明の罪を解いて、謝意を表すか、あるいは、一戦も辞さんと仰せられるか。明白な御返辞を聞こう」

「貴公の態度こそ、まるで喧嘩腰だ。よう思うてもみられい。明らかな罪人を罪なしとして免したり、その上、国司が膝を曲げて詫びるなどという馬鹿げた事がどうして出来ますか。そんな事をしたら藤原維茂は、府官の長として、明日から庁務を執ることはできません。――何と威嚇なさろうと、お断りのほかはない」

「なに。威嚇だと。