轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页

青空文庫

兄の帰省

養子に行った時、通泰が十一歳、養母が二十三歳、そして養父が三十五歳という、何となく不自然な縁組であった。三人寅がいるので、三匹寅という掛物を作るはずだが、何だか具合が悪いといって、よく六つ目の干支を絵にする例にならって、有名な猿の絵描きであった森狙仙の三匹猿をわざわざ買って来て、誕生日などにかけていた。すると、まだごく小さかった義姉が戌年なので、狗の絵を入れたらなどといったこともあって、かわいそうでならなかった。

義姉は兄通泰より八つ下だったから、私より一つ上で、子供のころは私といっしょに育ったようなものであった。

養父は他に何もいうことのないほど良い人であったが、どうも酒をのむとよくなかった。あの時代の医者は今のように車など使うというようなことはなく、往診には馬に乗って行った。先方で酒をのんですっかり酔ってしまっても、馬の方も威圧せられてしまうのか、おとなしく主人をのせて帰って来た。時々「音がしたが、どうしたんだろう」などと家の者がいっていると、馬は先生をのせたまま廐の中で寝込んでいたというような滑稽な話がある。

ことに晩年は、いろいろ憂いがあり、悲しみがあったりして、いよいよ酒が強くなり、末路は気の毒で、五十にならずに死んだのではないかと思う。