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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页

青空文庫

ネフスキーのノート

私どもの贈った抜刷や他から貰った資料も大事に集めてあるが、それよりも彼自身の調査を葉書大のメモに何百枚も書き入れたノートが大切なのである。蔵いこんでしまっては、学問のため惜しいのである。

A類、B類と分類してY、Zくらいまであったかと思うが、大よその想像では沖縄へ研究に行った時のノートにちがいないと思う。一度見せてほしいとごく非公式に申入れたが、だれか中間にけちをつけた人間がいたと見えて、私が、そのノートは沖縄について大事なもので、北海道には用がないといったことを、悪意で先方へ伝えて、先方がつむじを曲げてしまった。しかし研究上どうしても必要なので、私から直接先方へ依頼状を出したうえで承諾を得て、そのノートを写真に複写させてもらった。

いま東大の服部四郎教授のところに委託してあるのがそれである。

ネフスキーのノート

ネフスキーの遺品のノートはそんなふうに不遇な扱いをうけて来たが、幸い彼が最後に大阪外語と兼ねて、京都大学の文科で講義をした時に、そのノートをもとにして沖縄の言葉の話をしたらしく、それを聞いた人が三、四人いる。

彼が宮古島から帰ってきた時の話によると、宮古島の言葉は、入り交りに何べんも移住したらしく極端にいえば、部落ごとにちがっているといってもよく、大体三つの系統にわけることができるという話であっ