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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页
ジュネーヴで働く
伊波君の他に、やはり沖縄の人でわれわれが大きな影響をうけている人に佐喜真興英君があった。沖縄に渡った時中学校の先生から、今まで教えてきた青年の中で、いちばん前途の楽しみなのがこの若人であると聞かされて帰ってきた。その後穂積陳重さんを訪ねた時、「沖縄にもなかなか真面目な青年がいるよ。よく本を読む」といって、やはり佐喜真興英君の名をいわれた。私も前に沖縄で名をきいていたので、会いたいものですと話したことがあった。其の後穂積さんが機会を作って、佐喜真君に引合せて下さった。一高から東大法科を出、その時は裁判官をしていたが、方々転任を命ぜられて動きながら、いろいろの著述をしていた。私が出していた「炉辺叢書」の中にも、沖縄の諸君のものが七、八冊出ているが、そのうち二つまでが佐喜真君のものである。
ジュネーヴで働く
沖縄から内地に帰る途中で、国際連盟の仕事でジュネーヴに行けという電報を受けた。私は役所の方を怒って辞めているので、おそらくこれは誤報だろうと思っていた。ところが熊本まで帰ってくると、酷いのがいて、「お口があっておめでとうございます」などという。県庁の役人がそんなことをいったので、「断ってくれ給え、ぼくはもう政府のためには働かないんだから」