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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页
歌口
の中でいっている「故郷」という概念に似ているような気がするのである。せんじつめると、どこが故郷のいいところか、故郷とはどこまでいいものか判らないけれども、帰ってみれば村の人はみな知っていて、お互の気持が口に出さなくとも通じるとか、中には子供で別れたのがもう大人になり、細君になっているといったセンチメンタリズムもあるが、宮崎君はそれを忠実に書いたのである。
帰省という思想は、あの時代のごくありふれた、若い者の誰もがもっている感覚で、もっていないものはないといってよいくらいであった。そのころの読者はみな学生で、しかも遠く遊学している者が多いので、みなこの『帰省』を読んで共感したのである。
歌口
民友社から出した我々六人の新体詩集『抒情詩』については、いろいろの思い出がある。
そのころちょうどフランス留学から帰った和田英作君という無名画家を、国木田が紹介して、六人の詩人のために一枚ずつ※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)絵を書いてもらった。墨一色の絵で、原画は今も布佐の松岡の家に残っている。昨年亡くなった和田君に見せたら、なつかしく思い出してくれたであろうが、あの時はそれらの絵を無料で描いた上、六人の作者に一枚ずつくれたのであった。