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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页

青空文庫

土井君はけっして『文学界』にふれようとしなかったりして、二人は大学で同級だったが、あまり仲がよくなかったらしい。

大体二高出身の人はみな一脈相通じたものをもっていて、上田派に対立していた。私はじつは両天秤で、二股の役をしていたらしい。土井君の影響をかなり受け、短い詩ばかりでなく、長いのを作れといわれて、『帝国文学』に「桐花操」という長い詩を書いたことがある。操というのは一つの曲だが、果して私の詩が操になっていたか、どうかは分らない。「奥山で桐の木が成長し、大きくなって、川を流れ、里に下って、琴になって弾かれた」ということを、空想でロマンチックに作ったものである。このときは土井君の側は大いにほめてくれたが、上田君の派はあまり感心してくれなかった。たしか私の高等学校卒業の年で、上田・土井の両君は大学の三年のときであった。

一方では、西洋文学の翻訳などを聞くときは上田君のところへ行ったりして、要するに私は中間だったらしい。土井君のは詩吟に近いので、当時の高等学校の学生などには、大変人望があったものである。

頓阿の『草庵集』

日本の文学は不幸な歴史をもっていて、事実応用するような場合のない人にまで、「嗜み」