轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页
宮入さんは一時、京都で教授をしていて、家が広かったので、弟の静雄を預かってくれた。私は東京にいて、高等学校に入る準備をしている間に、弟はしっかりした人間であったから、京都で一人で勉強して、海軍兵学校に入り、私が高等学校にいるころには少尉候補生となり、私が大学に入った時には、もう少尉になって世に出たわけである。
末弟の輝夫は静雄と反対で、母親にばかりくっついている秘蔵っ子だった。下谷練塀町の小学校に通って、自分の好きな子ばかり集めて遊んでいた。市河三喜さんも同じ小学校だったが、輝夫より二、三年下とかいう話である。
この御徒町にいた時代が、私のためにいろいろ新しい力ともなり、偉い人々を識る機会ともなった。今もよく記憶しているが、そのころは徳富蘇峰さんが文筆界の中心になっていたようである。文壇という言葉も、このころ田村三治などの仲間がはじめて使い出したとか、田村からきいたことがあった。したがって当時は文壇人という者が非常に少なく、徳富さんに招ばれるということが、一つの登竜門になっていた。三十人とか四十人とか集まったが、やはりいちばん余計に威張ったのは小説家の方ではなかったらしい。