轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页
播州の柳田
もうそれっきり一族のものがだれも行かないのである。
播州の柳田
昭和九年の四月なかば、久しぶりに故郷の山々の花を見歩いて、竜野に一泊し、それから斑鳩の御寺にはじめて詣り、同じ車で室の津まで出てみたら、ちょうど明神様の本祭の午後で、白粉をつけて眉墨を描いた女の子たちが、親や姉につれられて、一人ずつ御宮から降りて来るところだった。昔は必ずこうではなかったろうが、港はひっそりとして小舟の出入が少なく、沖にはただ折々の白い波頭を見るのみであった。崖の端まで出て左右の磯山を見渡すと、桜はもう過ぎて藤にはまだ少し早く、躑躅も薄紫のもちつつじ、私たちが小さいころに女郎つつじなどといったのが、松や雑木の間にいくらでも咲き続いている。これと関東の山々で野州花、またはヤシオというものと、色は同じだが形だけに違いがある。
汽車では片隅だけしか見て歩くことができない。今度は一つ海から見ようと浜に降りていって、明日の小舟を約束し、小さな宿屋を見つけて、この晩は泊ることにした。
できるなら備前の鹿のいる島のあたりまでもと思ったが、祭の疲れもあるか、そう遠くへは出ようとしない。