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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页
この行事の分布は狭く、西方では播州がゆき止り、裏日本の山陰では西は伯耆、東は若狭に分布している。もともと日本人は狐を狡猾な警戒すべきものとしては見ず、感謝と尊敬を以て対すべき動物として信仰し、人智の及ばない、例えば豊凶を占えば、それを教示してくれるものと考えていた。狐信仰がいまなお見られるような、狐つきや犬神筋などという特定の家系を捏造したり、呪術者によって狐落しという民間修験が行われるようなことになったのは、信仰の衰退現象にもとづくだけではなく、この信仰を生活に利用した一部の人々の影響ではなかったか。
ところで、狐狩りはモグラ打ちと同様に狐が追放されるという形をとっているが、本来は年の初めにその年の豊凶を狐から聞くための歓待行事ではなかったかと思われる。狐帰りと呼び、やや狐に対して好意的な態度をとる地域もある。その際の歌い文句は、
狐の寿司は七桶ながら、八桶に足らぬとて狐狩りするよ。
狐を喰ったらうまかった。まんだ歯ぐきに挟まっとる。
といった風の半ば遊戯的で示威運動めいているが、また狐との長年の親しみの名残りを示している。
辻川ではオロロ追いといい、単に理由もない行事として残っていた、オロロとは物を捜すときの掛声であろうが、子供らが群を作って、寒い夜更けの街道を村の外れまで「オロロやオロロ」