轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页

青空文庫

田原という地名

めん、そこじゃい」というものだから、鬼におんとめんとがあるのかしらんと思ったりした。今も大門という地名があるが、その表口にもとは大門が建っていて、そこから文殊堂まで、少し斜め東北に向って真直ぐに参道がついている。播州の北ではいちばん歴史に旧いのはそこで、記録類によれば平安朝まで溯ることができる。大門がいちばん外の門だが、私の子供の時分にはもうなかった。懐しい所である。

田原という地名

私の生れ故郷は、当時田原村辻川といったのであるが、この田原という郷名は、隣村の川辺とともにすでに中世以前の書物にも現われている。播州の地形を脳裡に描くとき、必ずといってもいいほどに浮び上って来る風景は一面の荒れた平原である。

というのも、あの地方の郡境はいずれも原野で、水さえあれば水田も出来たであろうが、今日のように水利が便利にならなかった当時は、たまに草を刈りにゆくだけの荒蕪地であった。

北条の田町という所に住んでいたころのことであるが、朝早く町のはずれから東の方、玉野付近を眺めやっていると、何一つ遮るものなく、地平から朝日の昇るのが望まれたものであったし、辻川の三木拙二翁の家の裏手の丘も、ナツハゼという、夏に赤い葉を茂らす木々が目に入るだけであった。