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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页
しかし新しい理論というものは、どれも出た初めは大変難しく見えるもので、今では皆に親しまれているボーアの原子構造論でも、出た初め頃はなかなか大変だったのである。次の話は、長岡先生や寺田先生などが、その理論をめぐって色々議論をされた席の話である。東大の物理では、毎月一回、御殿で懇親会というのがある。それは先生方、在京先輩、三年の学生が集まって一円の夕食を共にし、引続いて誰かが、新しい物理学上の問題について一席話をするのである。
六月のある晩のこと、長岡先生が新着のボーアの本を紹介されて、その頃では破天荒に新しいボーアの原子論の大体を約一時間にわたって話されたことがあった。もっとも定常軌道のことや、プランクの量子論の導入の問題は、その前から知られていて、先生方も十分考えておられた問題なので、話が済むと直ぐ議論が始まったのである。まず寺田先生が、「電子が次の軌道へ行く時がνの光で、それを飛び越えてまた次の軌道へ行く時にはν’の光を出すとすると、何だか電子が自分の行先を知っていて、それに相当する波長の光を出すような気がしますがね」と例の悠揚迫らぬ姿で質問とも独り言ともつかぬ話をされる。