轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页
それには今のような一番好都合の位置にいながら、事実は全くの逆の傾向に堕ちようとしている自分を省みて、時々激しい不安に陥ることがある。そのような時には、理由なく昔の御殿の生活が懐しく思い返されてくる。
御殿には長い廊下が沢山あった。いつも勝手口から這入って行く私達は、暗い廊下をいくつも折れて、御前様の御居間の方へ行く。人気の少い御殿では時々大きい百足が廊下を這っていることがある。女中達は驚いて声を立てながら、手燭を持ってきてその百足を火箸で押えて、油の罎へ入れては殺した。その油は切傷によく効くといって、大切に保存されていた。実際の効用は聞かなかったけれども、これも旧くからの方法であったのであろう。奥女中達については、妙にこの百足油を作ることと、時々女中頭の人が柴舟という小さい煎餅を白紙に包んでくれた記憶だけしか残っていない。
御殿では御正月になると、大抵は大殿様の御留守の時であるが、御前様の御居間で、旧士族の数人の人々や奥女中達が集って、よく花合せをした。あのような花歌留多はその後どこでも見ることが出来ないが、葉書位の大きさの厚い桐の板に色々の花の絵が描いてあって、全部で百枚位もあった。