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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

「よし、この味方を、得るからには」

と、常陸へ、舞いもどった。――けれど、さきに、将門のために国庁を焼かれた藤原維茂、為憲などは、どこへ逃げ隠れたか、捕われたか、その兵も、全く四散し尽して、消息すらわからない。その間を、東奔西走して、とにかく、短時日のあいだに、常陸勢の再編成を遂げ、下野勢の新手を加えて、将門へ当ろうと計っていた貞盛の根気のよさと苦心の程も、また、生やさしい軽薄才子のよくなしうる業ではない。陰性な理智と、舌さきで立ち廻って来た彼も、今や一生を賭けた、底力をここにふるい出している姿が見える。

貞盛の妻

将門は、大宝八幡から、豊田の新館へ帰った後、二、三日というものは、馬鹿みたいに、寝てばかりいた。

まったく、身心ともに、疲れはてたという態である。

まる三日にわたる戦捷と、新年の大饗宴にも、余りに、飲みすぎていたが、何よりは、周囲の有頂天な雰囲気に、悪酔いしたにちがいない。

天皇にされ、新皇万歳だの、王城をどこにするの、左右両大臣以下の任官式――などという悪ふざけが、まだ、彼の後頭部に、むうんと、重たく、祟っているらしい顔いろである。

「さっぱりしない。