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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

そういう点から、小次郎の性格は、おもしろくないと思っておられるらしいな」

「じゃあ、小次郎に、豊田郷の跡目は継がせないおつもりなのでしょうか。しかし、そうはいっても、小次郎は、まぎれもない良持どのの長男だし、私の見るところでは、そう悪くいうほど欠陥のある性格とも見えませんが」

「繁盛、繁盛……」と、貞盛は、兄として、たしなめるような眼で――「めったな臆測を、みだりに、口へ出すものじゃない。何事も、父上のお旨によって、わしはいっているのだ」

「他人には、そんなこと、申しはしません」

「おくびにも……。よいか」

貞盛は、すぐ立った。

いつぞや、小次郎と約束したことなど、何も、いい出さないうちに――である。でも、繁盛は、小次郎への返辞もしなければならないと思い、兄を送って、邸外まで歩いた。そして、それとなく、小次郎の希望をいってみると、貞盛は、ニベもなく反対した。

「そんなこと、師輔様へも、右大臣家へも、お頼みできるすじのものじゃない。よせよ、よけいな、おせッかいは」

それから、こうもいった。

「わしだって、いつか、応天門の附近で、あれに会っているよ。その時、小次郎が、物欲しそうに、何かいいかけて来そうにしたから、あわてて、身をそらした程なんだ。