轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页

青空文庫

さらに私の家には本の土用干しのときに邪魔扱いする木箱が一つあった。麻雀の道具箱位の大きさで、あけてみると昔の算法に使った算木がいっぱい入っていた。二色に分れていたと思うが、それで開平、開立というような高等な数学ができた。そして説明のための教科書がついていた。

私の祖母はそれを父親から習って、高等な数学ができるということを自慢していた。祖母の著書の中に「天が下の歌の数を知る法」というのがあった。三十一字の仮名を並べてコンビネーションで計算すれば、数の限界が出ると考えたものらしい。後年、寺田寅彦君にこの話をしたら、「時が経つに従って、同じ歌でも意味が違ってくるから、コンビネーションの内容がふえて、そんなことにはならない。歌の数は決ってしまわないから、勉強して作る方がいいよ」と反論されたことがある。

しかしとにかく曾祖父が吉益東洞の古学をやるかたわら、高等の算法まで覚えて帰ったばかりでなく、それを娘に伝授する気持になったのも、また教えられた娘である私の祖母が、それを応用して歌の数を知ろうとしたというのも、ちょっと変ったことである。

祖母も医者をしたり、また小鶴という本名に因んで、縞衣(古来鶴の別称を玄裳縞衣)という号をつけて、漢学の私塾を開いて、女生徒に唐詩選のカルタを教えたりしているのである。