轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页

青空文庫

七つ八つから十歳になるころまで、私は何度となく神隠しの話を耳にした。辻川の鈴の森神社は、丘陵の傾斜面の一部が段々になった側にある。その突端で村の者がいっしょになってお宮を拝むようになっているので、神隠しの話が生れるのに都合よく出来ていた。夕方、子供が村のどこかで遊んでいると、白髪のお爺さんが出て来て、「我は鈴の森じゃ、家で心配しているから、はよう戻れよ」と親切にいわれたから帰って来たという話を、子供心に本当のことのように思っていた。「ああ、それは明神さんに違いない」といったような話を、いくつもいくつも聞かされた揚句のことだから、小さい私としては無理もなかったのかと思う。

私より三つ年下の弟が生れる春先の少し前であったから、私の四つの年のことであった。産前の母はいくらかヒステリックになっていたのかもしれないが、私にちっともかまってくれなかった。

ある時、私が昼寝からさめて、母に向って「神戸に叔母さんがあるか」と何度も何度も聞いたらしい。母が面倒臭いので「ああ、あるよ」と答えたところ、昼寝していた私が急に起き上って外に出て行った。神戸に叔母などいなかったのに、何と思ったか、私はそのままとぼとぼ歩き出して、小一里もある遠方へ行ってしまった。