轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页

青空文庫

田山の小説に現われた自然主義というものは、文学の歴史からみて深い意味のある主張ではあったが、右の二つの実例のような悲惨な内容の話に比べれば、まるで高の知れたものである。

そんなわけで法制局の資料から見出した二つの悲劇が、私の心の底に溜っていて、何時かそれを世に知らせたいという気持を持ちつづけた。それで朝日新聞に書き、さらに『山の人生』という本を作る時、その序文のような形で、これを一番最初にもってきたのである。

田山にとって、この二つの事件は落第だったけれども、他に少なくとも四つか五つ、私が特赦の取調べで知った珍しい知識を、田山の方で採入れて自分の小説のたねにしたものがある。記憶している話の一つに『葱一束』というのがあった。一寸したことから大きな犯罪になるという話である。その記録を読んで、私が興奮している時に、田山から何か話はないかと聞かれたので話してやったものである。『一兵卒の銃殺』というのも、日露戦争の前後に私がたねを提供したものであった。

自然主義の作家は、極くあり得べき事柄が、すうっと妙に展開してゆくのに興味をもち、それを自然に書いて喜んでいたものであった。