轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页
それは両親もいい加減弱っているし、兄も丈夫でないから、この家から学資を貰って学問することはできない。何でも構わない、学資のいらないところへ行こうというわけであった。それには師範学校へ行きさえすればいいことは判っていたが、これはどうも気が進まない。それで学資のいらない商船学校へ行って船長になろうかと考えた。船の中で本も読めるし、外国にも行かれる。
私の船長熱はかなり強かった。しかし一方では私の知らぬ間に、長兄と井上の兄とが相談して、他のことは大きい兄がする代りに、私の学校へ行く学資だけは次兄の方で出すと決めておりながら、私には知らせずにいたのであった。私は高等学校に入ることは、大学へ入る前提だから、そんなことができるはずもないと、初めから考えても見なかったのに、二兄の間ではすでに膳立てがしてあって、私に高等学校の試験を受けろというのである。私として二兄に十分感謝しなければならないわけであった。そのため幸いにも私の船長熱は立ち消えになってしまったのである。
高等学校の生徒の極く一部には、余計に学費をもらっているのもいたが、たいていはみな極端に質素な生活であった。