轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页
私たちの幼いころは、身近なところから出た郷土の立志伝中の人として、よく彼の話をきかされたものであった。福本という土地は池田藩の飛地で、わずかな士族グループが支配していた、池田藩の特権として与えられた領地であり、福本という、めでたい名がつけられたのであった。福本からは藤井という、軍人ばかりを何人も出した家もあった。
松本荘一郎氏は後に工学博士、鉄道院工務局長となった人である。外国留学の便宜から岐阜の大垣藩に席を移した。後に鉄道院の汐留駅前官舎に住んでいたころ、私は東大生として友人たちと訪ねて行ったことがある。
四方山の話の末、維新当時、渡米しようと思って横浜まで出掛けた時の思い出をきかされたのを憶えている。何でも四人か五人の同輩と旅館の二階に泊っていた。全部まだ丁髷をつけていたので、いよいよ出帆するという前夜、みなで申合せてこれを切って散髪になった。雨のしとしと降っている夜であったが、みなで、切取った丁髷を、宿の前の堀に投げ込むつもりで二階の縁側から外に投げすてた。これで過去一切と絶縁したと思って、さっぱりした気持になって床についた。
ところが翌朝起きて見ると、何と堀の中へ投げ込んだつもりでいた丁髷が、全部下の屋根の庇に引っかかっていた。