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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页

青空文庫

それに人が亡くなって悲しみの最中に、あんな浄めばかりいっているノリトを読まれたのではやりきれない。読む場合というものも、ずっと限定してよく考えなければならない。と同時に気持をなるべく素直にもち、出来るならば横で聞いている人にも感じがうつるような心持で、ノリトを作らなければならない。いまはまだ戦争後の思想の混乱から、日本の神道があるいは衰えはしないかというような不安のあるときであるから、問題はどうしても国語として解決しなければならないと思う。

碑に刻む場合は、ノリトのように口でいうものとおのずから違って来る。石碑の場合はどうしても漢文がよくうつり、仮名まじりの口言葉はかえってだらだらになるような気がする。私も両親が亡くなってから後に、一度この碑文を書いたことがある。

矢田部良吉へ嫁いだ家内の姉の子供に、雄吉という非常にいい男の子があった。高等学校に入り、やがて大学に進むというとき、柔道をして急性腹膜炎か何かを起して急死してしまった。家の長女が生れたばかりのときで、元気で見舞に来てくれたのに、それから一週間もたたぬうちであった。これには私も大変考えさせられた。