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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页
よほど厳しくいわれてきたものと見えるが、今でも気の毒なことをしたと思っている。
それっきり船と別れてしまったが、あのときばかりは私も、日本人の生活にはまだこんな面があるんだと、西洋人に向って自慢したい気持になったわけである。そして遊女の今昔について下手な英語で説明してやったら、スコットは非常に面白がっていた。
その足で宮島から小郡に行った。それから防府の近くの湯田温泉に一泊して山口に寄った。そこで講演してから、ずっと津和野を通って島根の海岸に出た。途中ところどころ見物して松江に泊った。ハーン(小泉八雲)の旧邸に案内してほしいというスコットを連れて、ハーンのいた根岸家を訪れた。根岸家の主人というのは磐井といって、私の大学時代の同級生である。
瀬戸内海を旅行する前、その年の夏にスコット夫妻と、那須皓君も同行して那須温泉に行ったことがある。いちばんてっぺんの三六小屋とかいう高い所にある温泉まで、歩けるだけ歩いて泊った。幸いに他に客が誰もいなかったが、この温泉は混浴だなどとスコット夫人にいうと吃驚していた。しかし間に仕切りを立てたりして、ともかく細君にも入浴させた。