轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页
そこの西所と呼ばれた田圃について、父が「ここはうちの田じゃったが、松之助さんが売りなはった」と折々語っていたことなども、祖先のことに触れてしきりに思い出されてくるのである。
帰郷するごとにそこを訪れるのであるが、そのたびに変ってゆくその森のさまも、時代の移り変りを思わせる。
森には小さな稲荷様の祠があった。いまではそれを中心に稲荷講も結ばれていると聞いたが、当時はほんの小さな祠であって、その森へのなつかしみが、稲荷信仰や、狐の研究に心を寄せるようになったもとであった。
もともと稲荷様は、水田の一群、つまり同じ水を引いているとか、同じ日陰になるといった風なブロックの中心にあるもので、私の住む東京の郊外成城町付近も、田園地帯の名残りをとどめているので、稲荷様を祀った塚がいまなお多く残っており、それぞれの塚にまつわる狐の伝説がある。
例えば、私のいる町に九兵衛さんという話好きの古老がいて、私の通っている鍼灸院で、こんな話をしてくれた。
ある晩大工の某が、近くの稲荷さんのほとりを通っていると、狐が踊っていて、しきりに「あいつ、今夜は遅いな」と語り合っていた。