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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页
恐らく当人の創作ではあるまいが、いずれにしろ漢字を知っているという一種の誇示であったのである。
戀という字を分析すれば 糸し糸しと言う心
また、こんな歌が流行った。
いまの議員のはやりの言葉 「所謂」「含蓄」「止むをえず」
昔の所謂は namely といった風の「あなたは知るまいけれど」という意であり、「含蓄」は contain とでもいうか、「止むをえず」はよく理解できないが、相手の言に屈服するといったようなニュアンスをもっていたのである。なかなか味のある都々逸の文句であると、私は当時を思い出しながら感心するのである。
こうした時代が、鹿鳴館にみられるような欧化主義の風潮へとつづいてゆき、やがて国粋保存主義の台頭となって現れたのであった。陸羯南や三宅雪嶺らの世間への直言が、やがては日本新聞などで代表される新聞の権威の確立ともなったのであった。
外人の中にも、当時の日本の軽薄な風潮、つまり「即断の誤り」について警告した人がある。ドイツ人でパウル・マイエットという人などがそれであった。
学問の本義
「文字ヲ知ル者ノ憂」という昔の中国人の言葉を、私の幼いころはよく聞かされたものであったが、日本人は文字ということに非常に大きな、哲学的な意味を与えすぎて来たようである。