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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页

青空文庫

いつか私は「学びの家」と呼ばずに、これから「おぼえる家」にしようではないかと冗談まじりにいったことがあった。

ところが、一方にはそうしたことはどうでもいいではないか、「まねる」から「まなぶ」が出て来たとしても、現在すでに「まなぶ」という言葉の意味は違って来ている。

あることを新しく知って賢くなることを意味するのであるからという国語学者の意見もあろうが、ここに私たちの学問と、その人たちの学問との相違点があるのであって、以前こういう歴史を経て、「まなぶ」が「おぼえる」よりもう一段と尊い意味になっているのだということをいわねばならず、その由来の「まねくり」にまで、溯らなければその真意は明らかにならないのである。

なお「かんがえる」(考える)が「おぼえる」より尊いと思う風潮もあるようであるが、「かんがえる」という語こそ、考えるべきことで、古語に「カン」音はないため、「かうがえる」といっているが、あれは古い輸入語である。

今後われわれはもっと日本的な意識に徹し、「かんがえる」という風な語も「おもう」か何かにしたいものである。

「おぼえる」という日本語が折角あっても、「おぼえ」