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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
が、最早余命の定った渠、再び快く語る機会は恐らく最う与えられまいと思うと何となく名残が惜まれ、最後の会食を一緒にしたいような気がしたが、病気が病気だからそれもならず、壮健の時と同じように平気な顔をして談笑していても自ずと憂愁に閉ざされて話を途切らしがちだった。
「あア、あア、」とやがて平手で左の肩を叩きながら、「何しろ流動物ばかりだから、腹に堪えがなくて直き労れる。カラキシ意気地がなくなッちゃった。」
といいつつ椅子を起ったので、一緒に席を離れて淋しい後影を店先まで送り出した。
「じゃア君、頼むよ、一時間でも早く届くように。」と待たして置いた俥に乗移って、「片脚棺桶に掛ってるんだから気が短かくなった。」
と、病み衰えた顔に淋しい微笑を浮べ、梶棒の上ると共に互に黙礼を換して訣れた。暫らくは涙ぐましく俥の跡を目送ったが、これが紅葉と私との最後の憶出の深い会見であった。
それから二タ月ほど経って、いよいよ重態となったと聞いて門口まで見舞に行ったが、その時は最うドッと枕に就いて普通の見舞人には面会を謝絶していた。
間もなく紅葉の訃は伝わって、世を挙ってこの比い少ない天才の逝くを痛惜したが、訃を聞くと直ぐ、私は弔問して亡友の遺骸に訣別を告げた。