轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
01 第一部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 页
とにかく、彼は、今までにない、いやな気分になって、永いこと天井を見つめていた。
部屋はいつの間にかうす暗くなって来た。
お祖父さんの顔がはっきり浮かんで来る。ちっとも恐くはない。つづいてお祖母さんの顔が見える。彼は思わず拳を握って、はね起きそうな姿勢になったが、すぐまたぐったりとなった。
しばらくすると、久しく思い出さなかったお浜たちの顔が、つぎつぎに浮かんで来る。不思議なことには、お浜や、弥作爺さんや、お鶴の顔よりも、眉の太い勘作や、やぶにらみのお兼などのきらいな顔の方が、はっきり思い出される。それでも彼は、遠い以前の校番室の夜の団欒を回想して、いくぶん心が落着いて来た。
が、それもほんの暫くだった。足にさわる畳の冷えが、また彼を現実の世界に引きもどした。彼は自分が現在何処にいるかをはっきり意識すると、淋しさと腹立たしさとのために、じっとしてはいられなくなって、ごろごろと畳の上にころがり始めた。
(僕は本当にこの家の子だろうか。)
ふと、そんな疑問が湧いて来た。すると、無性にお浜がなつかしくなって、涙がとめどなく流れた。すっかり暗くなった頃、俊亮が手燭をともして二階に上って来た。