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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页

青空文庫

)象徴派の思惟によれば、詩の情趣は「朦朧の神秘」に存し、意味の不分明なところにあるというのだ。そしてこの点でのみ、一般に象徴派の特色が著るしく誇張されている。けれども詩派の運動に於ける本質からみて、象徴派の真生命は、要するに浪漫派の新しい復活に存している。彼等は高蹈派によって虐たげられた自由と情緒とを、一の新しき哲学の形によって、欧洲の近代詩壇に呼び返した。その新しき哲学とは、詩に瞑想的な実在観念を深めたことで、浪漫派の純一に情緒主義であったのとは、この点で教養が区別される。彼等は要するに浪漫詩人の、より観念化した変貌だった。

この象徴派の運動は、一時殆ど欧洲の全詩壇を風靡してしまった。いやしくも象徴派でないものは、新時代の詩人でないように考えられた。しかしながら反動は、必然の避けがたい法則で起って来た。第一につぎの詩壇は、象徴派の曖昧朦朧を排斥した。そして印象を的確にし、意味を力強く出すことに傾向して来た。実に象徴派以後の詩壇は、この「印象的」というところに、著るしい特色を有している。そして最近の多くの詩派、即ち写象派、未来派、立体派、表現派、ダダイズム等のものが、一時に続々と現われて来た。