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しのげんり
詩の原理
萩原 朔太郎
「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页
次にこれ等の詩派に共通する、最近詩壇の一貫した精神を述べてみよう。
最近詩派の本質は、一言にして言えば「象徴派への反動」である。即ち彼等は情緒を排して、或る種の抑圧されたる、逆説的な意志による権力感情を高調している。特に立体派や、未来派や、表現派等に見るように、彼等の詩的情操の本質感は、或る意地悪しきもの、歪みたるもの、ヒン曲げられたるもの、グロテスクのもの、憎々しきもの、残酷なるものの表象である。何等かそこには、権力を否定することによって痛快とする、或る逆説的のヒロイズムがあり、意地の悪いニヒリズムが冷笑を浮べている。確かに近代の詩に共通する一つの強い情操は、或るニヒリスティックな権力感で、物質の本性をキュービカルに歪めさせ、世界をグロテスクにねじ曲げようとする、意志の力学する意味を持っている。そこにはいつも科学的な唯物観と宿命観が、人生を苦々しく情象し、機械と鉄槌の重圧が、詩を叩き出そうと意志している。(このニヒリズムの反射に於て、いかに世界が権力への渇仰を、あのムッソリニや、ヒンデンベルクや、レーニンやに捧げているかを見よ。)
こうした内容を有する詩が、形式に於てどんな表現を映してくるかは、考えるまでもなく明らかだろう。