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しのげんり
詩の原理
萩原 朔太郎
「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页
所詮するに詩人のイデヤは、他のすべての芸術家のそれに優って、情熱深く燃えてるところの、文字通りの「夢」の夢みるものであろう。
浪漫主義と理想主義との、二つの類似した言語に於ける別が、イデヤに於ける具象と抽象との、はっきりした差別を示している。即ち理想主義と言う言葉は、或る概念されたる、一の名目ある観念への理想を意味し、浪漫主義という言葉は、或る漠然とした、名目なきイデヤへのあこがれを意味している。故に芸術家の主観にあっては、理想主義と言うものはなく、常に浪漫主義が有るのみである。
ゲーテはそのエッケルマンとの対話に於て、次のようなことを語ってる。
「観念だって? 私はそんなものは知らない。」
「独逸人は私のところへ来て、ファウストの中にどういう観念を具体化しようとしたかと尋ねる。まるで自分がそれを知っていて言えるかのようだ。」
「私が自覚して、一貫した観念を表現しようとした唯一の作は親和力だろう。そのためあの小説は理解し易くはなったが、そのために善くなったとは言えない。むしろ文学的作品は、不可測であればあるほど、悟性で理解しがたければしがたいほど、善いものだと思っている。