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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 頁
七
地摺の青眼と綽名のあるその池野内蔵八が朝早く、
「典膳どの。来てくれないか」
と、誘いに来た。
どこへ、と訊ねると、
「かねてお聞及びだろうが、一刀斎の師弟が、今朝がた寺を立つという。そこで彼を途中に待ち、先頃の過言を責め、詫びなければ、自分に量見がある。後々、世上に誤聞を撒かれぬため、見届けに来てもらいたいのだが」
立会人として、典膳を引き出しに来たものとわかった。
「よろしい」
典膳は肩を並べて門を出た。
半里ほど先の街道に待っていると、程なく先日浜辺で見かけた師弟が歩いて来た。地摺の青眼は、躍り出して、すぐその前に立ちふさがり、
「あるとも、ないとも、その後、返答にも及ばず、無断、当地を立退くとは、卑怯ではないか。あの問題を明らかにして行け。できなければ大地に両手をついて謝罪しろ」
鐺を上げて、喚いた。
一刀斎は、こころもち頤をひいた。
「ああ、先日のお人か。忘れておった。……地摺の青眼とかいう構え、どれお見せ、止めようを伝授しよう」
「慥とか」
「念には及ばぬ」
「止めてみろ」
一颯、風を割って、大刀を抜いたのと、一転、身をひくのと、殆どひとつの動作だった。