輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 頁
五
――が、人々はなお、彼のそんな柔順を信じなかった。彼をよく知る九条兼実さえ、その日の日記に、
(如何ナル騒乱ニ立チ至ルラン。春日明神ニ祈念シテ、何処ヘモ逃ゲズ、タダ運命ヲマカスノミ)
と誌しているほどであるから、京都の市民が、かつての平家が都落ちの時のように、また、木曾義仲が乱暴を働いたように、義経の兵も、存分な狼藉を働いて行くであろうと、怖れ顫いていた。
ところが、十一月の霜の朝、義経は、赤地錦の直垂に、萠黄縅の鎧をつけ、きょう西国へ下るとその邸を出て、妻の静、その老母、その他、足弱な者たちを、先へ立たせ、わずかの精兵を従えて、御所の門前に、粛として整列した。
御墻ごしに、院の御所を遙拝して、彼は大地へ両手をつかえた。
「義経、不徳のため、鎌倉どのの譴責をこうむり、今日、鎮西に落ちて参りまする。思えば、きょうまでの御鴻恩は海のごとく、微臣の奉公は一つぶの粟だにも足りません。今一度、龍顔を拝したくは存じますが、武装の甲胄、畏れ多く存じますれば、これにてお暇乞いをいたして立去りまする」
従う人々には、佐藤忠信、堀弥太郎、伊勢三郎など二百余騎の家人、みな義経にならって拝をした。