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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 頁
「兵庫は、控えて、傍らより見学いたしておれ」
と、但馬守は、特に彼を避けさせた。避け得ないところの殺気をすぐ感じたからである。
けれど、結果は、あっ気なく終った。四人が汗してかかってもついに忠明に木剣の先も触れることが出来なかったのである。
奥へ招じて、懇ろに歓待した。種々、忠明の評を聞いた。やがて客はすずやかに立帰って行ったが、その後で、十兵衛が、
「四人でかかったときはどうだった」
と、訊ねると、四高足ともみな口を揃えて、
「ただ、水を断り、雲を払うような気がするのみでした。どうしても、敵の骨身に入っていなければならないと思われる太刀も、一瞬ごとに、虚また虚です。その虚に憑かれたように、こちらの頭が疲れたとき、忠明どのの太刀が、いつのまにか自分に来ているというわけですな」
但馬守も側にあって、
「予は、どうかして、忠明の眼ざしが、どこへついているかを、見極めようと観ていたが、ちょうど、陽炎を追っているようなもので、どうしても彼の眸のつけどころを、適確に、見極めることができなかった」
と、共に嘆じていたという。
七
小野忠明と柳生但馬守とは、同じ将軍家師範の職にあったため、対立的に視られ、ほかにいろいろ別説もあるが、多くは信じるに足らない。