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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 頁
そこで忠明はよろこんで、自己の感想、また見解を披瀝し、十兵衛三厳も家の流法の秘とする点まで打語って、相互ともに悟るところ多く、十兵衛の剣も、忠明の剣も、以来いよいよ精妙に入ることを得たということである。
奉公の道も一つであり、研く道も一つである以上、こうした相互研究を望むことは、たしかに両家の態度であったにちがいない。それを対立的に観て、噛み合すような風説をこしらえたのは、両家以外の世間であったろう。当時の一般剣術者の仲間などには、殊に、何のかのと、いろいろに取沙汰されていたにちがいない。
八
まったく政略経世の武将と観られる徳川家康すら、その若年にも中年にも、個人的修行のひとつとして、剣は学んでいた。
姉川の合戦のときだ。旗本奥平九八郎が、敵の名だたる者の首二級を獲て、実検にそなえた。家康は、九八郎の若年にしては、過ぎたる大功と、いたく賞揚して、
「汝は平常、誰に剣を学んでいるか」と、たずねた。
そこで、九八郎が、
「奥山流という刀法を少しばかり学び申した」
と、答えると、家康、膝を打って、
「それは定めし、急加斎という者であろう。いまは汝の家の客臣となっておる。