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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 頁

青空文庫

……もし、そうであったら、この和子は、どうなっていたやら」

と、もう見違えるほど成人した嫡男の与一郎のつむりをなでた。

与一郎(忠隆)の次に、次男の与五郎(興秋)があった。それからまた、三男の内記(忠利)が生れ、愛らしい女の子もその下にふたりできた。

いつか細川忠興は三十だいの男ざかりとなり、迦羅奢も同い年の三十路。そして五人の子の母とはなった。

けれど、彼女の天のなせる麗質は、すこしも変らないほどだった。むしろ貴族的な美しさと、年たつほど、研かれてくる教養美とが、以前とはちがった光をもって、化粧や黒髪のほかに燦いてきた。

門地の高さも、以前とは雲泥の差ほどちがって来た。勝龍寺城の頃は、わずか二万石ほどの小大名であったのが、今では舅の細川藤孝は、丹後の田辺城にいて、あの地方における重鎮であった。また、良人の忠興は、数度の軍功に、秀吉から引立てられて、豊後杵築の大禄に封ぜられている。――そして大坂での邸は、玉造にあった。宏荘華麗なことは、豊太閤の金城をめぐる群星建築の一つ、云うまでもない。

ところが。

その玉造の第宅の園には、桃山造りの殿楼にふさわしい白孔雀なども飼育されていたが、同じ園内に、一棟の長屋が建てられて、そこには汚い町の子や嬰児がたくさん養われていた。