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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 頁

青空文庫

「オオ兵庫か、大きゅうなったな。はや二十二か。むむよい若者ぶり……。思わず見ちがえた」

「叔父上にもお変りになりましたぞ。逞しくおなりになりました。祖父様が御覧になったらどんなにお歓びでございましょう」

「父上は、御健勝か」

「おかわりもなく、近頃は静かに御書見を好まれています」

「……ああ、それを聞いて、ひとつは安心。兵庫、先に行って、お耳に入れい。宗矩が立帰りましたと」

「はいっ」

兵庫は、奥の丸へ、駈込んで行った。

宗矩は、外曲輪の玄関にかかる。かくと知ると、若殿のお帰りと伝え合って、昔ながら仕えている家臣や小者たちが、彼を迎えて、下へも措かない騒ぎである。

「おう、助九郎も達者か。庄兵衛も髪が白うなったの。やあ、五平太もおるか」

懐かしさに包まれながら、家臣たちに笠をあずけ、衣服の埃を打たせたり、草鞋の緒など解かせていると、奥からばたばたと駈けて来た一家臣が、

「お待ちください! 大殿からのおいいつけでござる!」

父のいいつけと聞き、また、その家臣の口吻にも、何やら峻厳なものを覚えたので、宗矩は、はっと立って、命を待った。

石舟斎の命を伝えて来たその家臣は、厳しい態度のうちにも、気の毒そうな容子を見せて告げた。