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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 頁

青空文庫

……新介の志を生かして」

評議の間へ出ると、老臣以下、まだ暗澹とそこに坐っていた。家厳は、面々が夜に入ったのも知らずにいる態を見て、

「燭を燈せ」

と、武士どもへいいつけた。そして、

「燭が燈ったら、一同これへ寄れ。ただ今、敵方におる新介から、かような書面が届いたに依って、改めて諮りたい」

と、新介の手紙を示した。

それを見て、泣かない家臣はなかった。或る者は、声をもらして嗚咽した。

「――ついては、わしの心も決した。この新介が手紙の文面を篤と見よ。降伏とは書いてない。和議を講じてくれとある。ここに新介の真意があるらしい。――降伏は受け難いが、和睦を結ぶなれば悪しかるまじ、その代りに、自分は質子として、筒井家に留まる――という存念と相見える」

評議は一決した。

新介の意を旨として、即刻、筒井家へ使者を送った。使者は、

「降伏は申し出ぬが、和議なれば応じ申そう。条件としては、嫡男新介宗厳様を、長く質子として貴家へお預け申すべしとの主人家厳が意見にござります」

と、口上で伝えた。

これでは、対等にひとしい返答である。筒井方の不満は明らかなように思われたが、意外にも、