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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 頁

青空文庫

四

すぐお供申そう」

「えっ。では、お越し下さいますとな」

「ただし、嫡子五郎右衛門と宗矩の両名に、もう一名孫の兵庫利厳を連れて参りたいが、どうあろうか」

「願うてもないことです。御子息、お孫たちまで、みな老先生をしのぐ俊才と、徳川殿もよくおうわさのことゆえ、お伴れ立ってあれば、徳川殿にもいっそうお欣びでございましょう」

「では、直ぐにも」と、心を極めると、悠長に構えたり、徒に勿体ぶっている石舟斎ではなかった。

「おうい。五郎右衛門、宗矩もこれへ来い。……孫はおらぬか、兵庫も呼べ」

と、自身さしまねいて、伴れてゆく若者たちを、土けむりの群れの中から呼び出した。

四

「何ですか。父上」

「祖父様。およびでございます」

名をさされた若者たちは、忽ち彼の前へ駆けて来て並んだ。どれもこれも土くさい百姓のように日焦けしているが、さすがにその態度や眼ざしには、老龍の子とも鳳凰の雛とも見える気稟を備えていた。

――四男の五郎右衛門が、その時二十八歳。

――五男宗矩は二十六歳。

そして、孫の兵庫利厳が、まだ十六歳だった。

「支度せい。これよりわしと共に、長政殿の案内で、京都にある徳川公の御陣所まで罷り出る。