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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 頁

青空文庫

と、訊きもしないことまで喋舌った。

そうして善鬼は、時折、師に対して示す不遜を、自ら理由づけているふうでもあった。

しかし、こう三人三様な性格が、ひとつになって、諸国を周遊して少しも倦まなかったのは、それが単なる生活の方便ではなく、師弟ともに、武者修行としての「道」ひとつへ研磨を志していることに変りはないからであった。

師の一刀斎としても、なおまだ自己の剣を、

(これでいい)

とはしていない。

達人の剣は、飽くまでも研き高められてゆく。

しかしその反面、一刀斎の肉体は、年ごとに老いても見えて来た。

善鬼は、いよいよ壮年期の逞しいさかりへかかって、その実力も、鍛えを加え、また諸国の剣客やその道床に人中の場数をふんで、覇気満々たるものがあった。

いかにせん、年齢にはかてず老いて行く達人と、また、抛っておいても、技も体も、伸び熟れてゆく生命力に、いつか驕慢となってゆくその弟子とを。――典膳はいつも心配そうに見較べながらついてあるいていた。彼も、弟子ではあるが、つねに荷持のお供であり、相弟子というよりは、草履取りか若党のごとく、その兄弟子にこき使われていた。