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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 頁

青空文庫

――眼に和やかな舞でも見たい。美しい妻が見たい。理窟など聞きたくないのだっ」

迦羅奢は、翌日、長屋を取払わせた。町の者へたくさんな布施をとらせて、その子たちの養育をそれぞれ頼んだ。

良人の気の荒びているのも無理はないと沁々察しられた。彼女は化粧につとめた。また、能役者など招いて、笛の音や鼓の音もあるように心をつかった。

けれど、忠興の短気や癇癖は、生れつきのものであった。武勇にかけてはなおそうであるのだ。十一歳に初陣して、牧の島の戦に、大人に劣らない振舞をしている。十五歳には、河内の片岡攻めに、城乗り一番の槍を入れて、信長から感状をもらっているほど豪毅な質であった。

そうした良人の性質は、花聟の時から弁えてはいたが、年たつにつれて、忠興のそれは甚だしくなってきたように思われる。

――なぜか?

と、考えるまでもなく、戦場から戦場が、殆ど良人の半分の生活だった。遠くは、海をこえて、朝鮮へまで戦いに征っているのである。

だから、その血腥い山野から帰って来ると、

「いかにせばお心が和らぐか」

それのみが、迦羅奢の苦心であった。――でもなお、欣ばれるであろうと予期してしたことが反対になったりすると、忽ち、