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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 頁

青空文庫

小笠原少斎・稲富伊賀・河北岩見の三将は、それぞれ手分けして、裏表の門を固め、

「ござんなれ」

と、一戦に備えたが、稲富伊賀が変心して、一方の門を敵方に委ねたので、三成の兵は、怒濤のように門内へなだれこんで来た。

「すわや。……むむ、残念」

岩見と少斎は、大薙刀に血しおを塗って、夫人の奥の座所へ馳けこんで来た。

そして、交、

「もはや、敵も間近う踏み入って候ぞ」

「御最期のおしたくを成さられ候え」

と、叫んだ。その声は、しゃがれ果てて、泣くとも怒るともつかない顫えをおびていた。

それにひきかえて、夫人の座所からは、

「いつなと、心に懸ることもない、……それにあるは、岩見か少斎か、はや介錯をしてたまわれ」

と、ふだんと少しも変らない声が洩れた。少斎は、はっと、それへ足を踏み入れかけたが、

「御座の間に入りては、恐れ多うござる。敷居の間近まで、お身をお移しくださいまし」

と立ち竦んだ。

夫人はいつの間にか純白な絹の衣に着更えていた。胸に、黄金の十字架をかけていた。たった今、庭園で狂わしく啼いていた白孔雀の姿を、少斎はそのまま想い出していた。

「……いざ」

迦羅奢は、自分の手で、黒髪をあげて、瞑目したが、ふと、