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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Read みみずのたはこと (みみずのたわこと) by 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 265,437 characters · 530 screens
彼女は人毎に本家の悪口を云って同情を獲ようとした。「本家の兄が、本家の兄が」が彼女の口癖であった。彼女は本家の兄を其魔力の下に致し得ぬを残念に思うた。相手かまわず問わず語りの勢込んでまくしかけ、「如何に兄が本が読めるからって、村会議員だからって、信者だって、理に二つは無いからね、わたしは云ってやりましたのサ」と口癖の様に云うた。人が話をすれば、「、、ふん、ふん」と鼻を鳴らして聞いた。彼女の義兄も村に人望ある方ではなかったが、彼女も村では正札附の莫連者で、堅い婦人達は相手にしなかった。村に武太さんと云う終始ニヤ/\笑って居る男がある。かみさんは藪睨で、気が少し変である。ピイ/\声で言う事が、余程馴れた者でなければ聞きとれぬ。彼女は誰に向うても亡くした幼女の事ばかり云う。「子供ははァ背に負っとる事ですよ。背からおろしといたばかしで、女もなくなっただァ」と云いかけて、斜視の眼から涙をこぼして、さめ/″\泣き入るが癖である。また誰に向っても、「萩原の武太郎は、五宿へ往って女郎買ばかしするやくざ者で」と其亭主の事を訴える。武太さんは村で折紙つきのヤクザ者である。