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みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

Read みみずのたはこと (みみずのたわこと) by 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 265,437 characters · 530 screens

Aozora Bunko

眼が真暗になる。頭がぐら/\する。勝手もとに荷を下ろした後は、失神した様に暫くは物も言われぬ。

早速右の肩が瘤の様に腫れ上がる。明くる日は左の肩を使う。左は勝手が悪いが、痛い右よりまだ優と、左を使う。直ぐ左の肩が腫れる。両肩の腫瘤で人間の駱駝が出来る。両方の肩に腫れられては、明日は何で担ごうやら。夢の中にも肩が痛い。また水汲みかと思うと、夜の明くるのが恨めしい。妻が見かねて小さな肩蒲団を作ってくれた。天秤棒の下にはさんで出かける。少しは楽だが、矢張苦しい。田園生活もこれではやりきれぬ。全体誰に頼まれた訳でもなく、誰誉めてくれる訳でもなく、何を苦しんで斯様事をするのか、と内々愚痴をこぼしつゝ、必要に迫られては渋面作って朝々通う。度重なれば、次第に馴れて、肩の痛みも痛いながらに固まり、肩腰に多少力が出来、調子がとれてあまり水をこぼさぬ様になる。今日は八分だ、今日は九分だ、と成績の進むが一の楽になる。

然しいつまで川水を汲んでばかりも居られぬので、一月ばかりして大仕掛に井浚をすることにした。赤土からヘナ、ヘナから砂利と、一丈余も掘って、無色透明無臭而して無味の水が出た。