Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
眠らせる術
突然その時恐怖の声が室の中から響いて来た。
「幽霊幽霊! おお幽霊!」
声と一緒に襖が開き白虎太郎は寝衣のまま周章ただしく廊下へ飛び出して来た。
「それ!」
と老師が声を掛ける。心得たりと身を躍らせ数馬は太郎に飛びかかった。いつもなら太郎もそう易々と捕らえられる男でもなかったが、悪人に限って迷信深く、既に不思議な映像に心を驚かせていたためか何んの苦もなく捕らえられ猿轡をさえ掛けられた。
「さあ急いで今来た道を室へ引っ返すと致そうかな」
云いながら老師は白虎太郎の頭の方を抱きかかえた。そこで数馬は足を抱き、重ね重ねの驚きに気絶している可哀そうな男を鳳凰の間へ運ぶのであった。
二人は廊下を引き返し、不思議な入口から螺旋階段へ出、それを今度は以前とは逆に上へ上へと昇って行った。
ようやく三重目の城砦へ帰り着き、不思議な入口から廊下へ出、鳳凰の間へはいった時まで幸いに誰にも見咎められなかった。
鳳凰の間へはいるや否や襖を閉じ板戸を締め老師考案の鉄の錠をまずガッシリと掛けてしまった。
二人は初めて安心し会心の笑を洩らしたが、
「何より先にこの男を正気づかせずばなるまいのう……」