Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

島君

「好かぬは妾も同じ事、葡萄大谷のお方でも、右衛門さんとは大違い、紋十郎さんは好かぬお方じゃ。そうは思ってもそこは商売、渋い顔ばかりもしておられず、お互いにクサクサいたします」

「妾は人一倍一刻者、厭な人は厭、好きな人は好きと、こうきめて掛かる故か、一層紋十郎さんは嫌いでござんす」花桐は深く眉を顰め、さも厭そうに云うのであった。

「おやそれでは花桐さんには好きなお方がござるのか? 今の言葉ではそうとしか取れぬ。こりゃ面白い、さあ云うがよい、さあ云うがよい。お前は十六になったばかり、恋も情も知らぬと思ったは、どうしてどうして油断が出来ぬの。さあそのお方を云うがよい」千寿はいかにも面白そうに、こう花桐に攻めかけた。

「おお云わいでか、云いましょうとも、妾の大好きなお方はの、葡萄大谷の右衛門さんさ」

島君

ケロリと云って退けられて、千寿は益※(二の字点、1-2-22)驚いた。

「右衛門さんとは滅相もない、今こそ仲違いしているものの、お前の姉分島君さんの、恋しいお方ではござらぬか。そのお方を横取りしようとは、なかなか凄い腕じゃのう」

「何んの妾が横取りなどを……妾が好きと云ったのも、あの親切な島君さんの、元の恋人でござる故、それで妾にも懐かしくそれで好きと云ったまで。