Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
牢番の娘
それはどっちとも解らないが物語はここで岐路へはいり、牢番の長、石右衛門と石右衛門の娘葉末について少しく説明をしなければならない。
土牢の番人の長として石右衛門はきわめて適当であった。彼は本年五十歳、その風采は逞しくちょうど熊のように立派であったが、その性質は狼より猛く涙というものを知らなかった。この残忍の性質が鬼王丸には気に入ったと見えて満幅の信用を寄せられていた。で、石右衛門は特に命じられて岩石ヶ城の構えの外、大鼠山の麓の辺に、十七の娘葉末と一緒に住居することになっていた。彼はそこの岩屋の中に娘と二人だけで住んでいた。
城内に住まずに城外に住む。ただ上辺から一見する時は、虐待されているように見えるけれど、その内実は反対で、彼は実に岩石ヶ城の一大秘密の要害地点を、鬼王丸から託されているので、どうしてと云うにその地点にこそ岩石ヶ城の間道の口が人知れず設けられているからである。
すなわち彼の住居から十町余りの山上に当たって一宇の神社が祠られてあったが、云うまでもなく悪神の社で、「虎狼の宮」と称されていた。この神殿の内陣の、床板を起こせばその下に、洞然たる大穴が一つ出来る。