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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

向う側の家並も見えないような雨足に叩かれて、ムッと立昇る土の香、――近頃の東京と違って電気事業も避雷針もない江戸時代には、びっくりするような大夕立が時々あったということです。

まだ六月になったばかり、暑さは例年にないと言われましたが、それにしても、真昼の大夕立は滅多にないことでした。

お蔭で素っ破抜きに始まった大喧嘩も流れて、夥しい野次馬は、蜘蛛の子を散らすように、近間の店先に飛込んでしまいました。

お通の茶店へも十二三人、濡れ鼠のようなのが飛込みましたが、買切ったわけでもないのですから、源助苦い顔をしながら断るわけにも行きません。

「おッ、なんて自棄な降りだい、まるで川の中を歩いているようだぜ」

「まア、松さん」

ポンと飛込んで来たのは、舞台で本雨を浴びて来たような意気な兄イ、濡れた単衣をクルクルと脱ぐと、

「ほら、ざっと絞って乾かしておいてくんな、――心配するなってことよ、そんな腐った単衣なんざ、お邸へ帰りゃ何枚でもあらア」

無雑作に投り出して、切り立ての犢鼻褌に、紺の香が匂う腹掛のまま、もう一度ドシャ降りの中へ颯と飛出しました。

「まア、裸でどこへ行くつもりなのさ、松さん」