Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
「手前が間抜けなんだよ、急いで行けッ」
「息が切れてかなわねえ」
「死体はそのままにしておいたのか」
駆けながらも平次は、出来るだけガラッ八の口から要領を引出して、事情の外形をはっきりさせようとする様子です。
「通りかかった町内の人に頼んで来たよ」
「町内の人とは、どうして判った」
「懐手をして立って見ているんだもの、町内の人だろう」
「…………」
現場へ行ってみると、もう五六人の人が立って、騒いでおります。木立と建物の蔭で、月の光もここまでは届きませんが、近所から持出したものと見えて、提灯が二つ、街の土に仰反って、血の海の中にこと切れているお町の死体を、気味悪そうに覗いております。
「御町内の方、掛り合いでお気の毒だが、しばらく動かずにいて下さい」
平次はそう言いながら、提灯を借りて、お町の死体を見入りました。後ろから喉笛を切った時、下手人の顔を見るつもりで少し顔を反らしたらしく、傷は少し左へ外れておりますが、そのために頸動脈を切られて、ひとたまりもなく死んでしまった様子です。
仰向けに倒れているところを見ると、たぶん手筐を奪い取るために引倒したのでしょう、お町の手は、それでも見覚えの空風呂敷を犇と掴んでおりますが、中の桐箱はその辺には見当りません。