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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

身代は少なく積っても十万両。支配人任せで寝ている三右衛門は、力になる身寄りがないだけに、その始末が苦になってなりません。自分の生きているうちは、どうやらこうやらやって行くが、明日も知れぬ病身になってみると、せっかく築き上げた大身代を、甥や養女や、赤の他人に、熊鷹に餌を奪われるように滅茶滅茶にされてしまうのが心外でたまらなかったのです。

そうかといって、今大急ぎで養子を迎えることもならず、生命の灯が次第に燃え尽きるのがわかると、勘当した倅が、つくづく恋しくなったのも無理のないことでした。

しかし、一旦久離切った倅の三之助を、死際にこっちから呼び戻すというのも、昔気質の三右衛門には出来ず、番頭も甥も、出入りの者も気が付かないのか、気が付いても、わざと知らん顔をするのか、口を噤んで、そのことには触れてくれませんから、病身の三右衛門には、どうすることも出来なかったのでした。

我慢が出来なくなって、呼寄せたのはお町。

「俺が目を瞑れば、この身代は滅茶滅茶だ。他人に毟り取られてしまうくらいなら、――これは内緒の話だが――やくざでも血を分けた倅に費われた方が、どんなにいい心持だか知れはしない。