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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

俺に万一のことがあったら、用箪笥の中の朱塗の手筐を、中味ごとそっと妻恋坂の倅へ届けてくれ。その中には諸大名を始め、江戸中の大商人に貸した金の証文が一杯入っている。どんなに下手に現金を掻き集めても、五万両や三万両にはなるはずだ。店の有金は、禄兵衛始め奉公人達にくれてやってしまい、土地と家作は、娘と甥に半分ずつやるように、これは別に、遺言状を書いておく」

こう言い含めたのは、ツイ三日前、その翌る日は三右衛門、二度目の中風に当って、正気を失ったまま、昏々と睡ってばかりいるのです。

こうなると、家の中にはもう、前々から孕んでいた財産争いが具体的になって、明日をも知れぬ重病人を抛っておいて、現金や貸金の勘定に夢中になる有様、朱塗の手筐の証文も、いつ誰に見付けられて、奪い去られてしまうものか、全く油断も隙もありません。

お町はこう言いながら、もう一度手筐を平次の方へ押しやりました。

「そんなわけで、今晩という今晩、甥の世之次郎様が、旦那様の枕許の用箪笥へ手を掛けなすったので、たまり兼ねて持ち出しました。旦那様は二度目の中風でございますから、お癒りになるものやら癒らぬものやらわかりませんが、道々考え直してみると、まだ亡くなったわけでもないのに、あわててこの手筐を持ち出したのは、少し早すぎたのかもわかりません。