Classici giapponesi con furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate
「これには何か込み入った事情があるに相違ない――洞院左膳というお方は、噂によると木曽家でも、花村様に負けないほどの権威者であると聞いてはいたが、しかし腹黒い方じゃそうな。その洞院左膳様と、花村様とお二人が、いずれも殿様のおためじゃといって、一人の遊女を争うとは、どうにも可笑しなことではある」
しかし、可笑しな事と云えば、ただそれだけでは止どまらなかった。
左膳が館を駈け出してから、これまた半刻も経った頃、例の美しい「紫の君」が、あわただしそうにはいって来たが、鳰鳥の落籍を聞くや否や、颯と顔色を蒼白くした。
「…………」じっと無言で考えてから、これまた後を追ったのである。
嶮しい山の中腹を縫って、月のない空の下を、鳰鳥の輿は揺れて行く。甚五衛門も輿舁ぎも、寂然として無言である。輿の中なる鳰鳥も死んだかのように無言である。
無言の一行は山の腹、木曽川の岸の岨道を粛々として行くのである。
鳰鳥は輿に揺られながらもじっと考えているのであった。
彼女はさっき、長者から、落籍の話を聞かされた時、一も二もなく断わったがしかし落籍をされる先が、木曽義明だと聞かされると急に心が一変した。